キヤノン(7751)は20/6中間期の配当を40円としました(19/6中間期は80円)。日本経済新聞によれば33年ぶりの減配とのことです。
期間の利益よりも多くの配当を出すこともありましたが(いわゆるタコ配)、ついに減配を決断したわけです。もともと累進配当を宣言していたわけではないので、ここまでよく頑張ってきたと言えるかもしれません。
配当維持の継続を期待していた株主にとっては残念ですが、リスクを取った結果なので仕方ありません。言い方は悪いかもしれませんが、過去に蓄積した利益の掃き出しによる配当継続予想が外れたということです。
内部留保の厚い企業の株を買い、一気に配当を出すように要求するアクティビストは多く存在します。なぜ過去に積み上げた利益を、当期の株主に返すのかという疑問はありますが、会社は株主のものであるという観点からは無謀な要求ではありません(会社は株主のものであるという考えについては様々な議論がありますが)。
タコ配を続ける企業に配当維持を期待するということは、「過去に積み上げた利益を吐き出し続けて下さい」とお願いすることになります。少しだけアクティビストに似た考え方かもしれません。もちろんモノ言う株主といわれるアクティビストとは全く違いますが。
本日(2020年7月30日)、日本エスコン(8892)が累進配当政策を取り下げました。三菱商事(8058)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)などとともに日本に数社しかない累進配当施策を掲げる企業でした。日本初の累進配当政策の旗降ろしのケースだと思います。
累進配当政策を掲げていないキヤノンの減配でこれだけ市場が落胆(▲13.5%の株価下落)したのですから、累進配当政策の三菱商事(8058)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)が減配したらどれだけのショックになるのでしょうか。考えるとすごく怖いです。