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ペプチドリーム(4587)の今後の注目点は?

ペプチドリーム(4587)は2013年6月に上場しました。初値は988円(株式分割考慮後)、2019年6月10日引値は5,880円ですから、6年で6倍になっています。株価は上下の波を打ちながら、しっかりと上げてきました。当社の特殊ペプチドによる創薬への期待が、着実に高まっているためだと思われます。

 

しかし一方では、特殊ペプチドの創製という基幹技術を用いて新規化合物を多くのメガファーマに提供しながら、臨床試験がなかなか進んでいないという事実もあります。この点は株価の重しとなっています。すなわち製薬メーカーとの共同研究開発契約は年に複数件あるのに、その契約先がなかなかフェーズ1(臨床試験第1相)に入らない、あるいはフェーズ1からフェーズ2移行しないのです。

 

最も開発の進んでいるブリストルマイヤーズスクイブ社(以下BMS)の抗がん剤は、数年前にフェーズ1に入りましたが、いまだにフェーズ2に移行していません。これは同剤がPD-L1ペプチドであるためと推測されます。BMSは既に小野薬品(4528)と共同開発したオブジーボという注射剤のPD-L1の抗がん剤を有しており、あえて同系統の薬剤を早く上市する必要はありません。このためBMSは、ペプチドリームから導入した技術を使って、経口剤など新規性の高いPD-L1の抗がん剤を開発しようとしているものと思われます。

 

また多数の契約先が候補化合物を持ちながらフェーズ1に入れないのは、治験薬となる環状ペプチドの製造が難しいという点にも起因していると思われます。治験薬レベルになるとGLP基準(Good Labolarory Practice)を満たす必要があります。多くの製薬メーカは治験薬の製造を外部に委託しますが、新規性の強いペプチドであるため、大手の受託メーカでもなかなか受けきれないといったケースがあるようです。ただこの点はしっかりと対策を打っており、ペプチスターというペプチド製造メーカーをペプチドリーム、塩野義、積水化学など18社で設立し、本格的な製造に備えています。なお少し話は外れますが、ペプチドリームが創薬共同研究開発をしているのは、BMS、アムジェン、田辺三菱、第一三共、グラクソスミスクライン、アストラゼネカ、ノバルティス、イプセン、リリー、メルク、サノフィ、帝人ファーマ、杏林製薬、ジェネンティック、塩野義、旭化成ファーマ、ヤンセン、バイエル、参天の19社です(契約順)。

 

またペプチドリームは、上記のような共同開発とは別に、自社開発も積極的に行っています。他社との戦略的提携により開発パイプラインの充実を図っており、具体的には、JCRファーマ(4552)との共同研究の結果、血液脳関門(BBB)を通過する特殊環状ペプチドの創製に成功し、今後は大手製薬メーカーとの連携の可能性も出てきています。またイェール大学発の技術を基にしたKleo社へペプチドリームが技術導入一時金を支払い、がん免疫治療薬の共同開発を進めています。

 

以上のようにペプチドリームの研究開発は着実に進展しています。しかし株価を動かす大きな材料が出ていないのも事実です。新たな製薬メーカーへの技術導出くらいでは新鮮味がなく、持続的な株価上昇にはなりません。今後の注目材料は、1)BMSのフェーズ1にある開発品がフェーズ2に移行する、2)ペプチスターの本格稼働による共同研究契約先の早期フェーズ1入り、3)Kleo社の開発状況、といったところでしょうか。期待しています。

 

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