日特建設(1929)の20/3期予想配当金は32円で、利回りは5.3%となります。
同社は中期経営計画(2017-2019年度)で、「配当性向30%以上かつ総還元性向50%」という株主還元方針を掲げています。有利子負債が8億円程度しかなく、財務内容の良好な同社にとって、50%以上の還元は無理のない水準だと思います。
18/3期は24円の配当(配当総額10.0億円)と5.0億円の自己株取得を実施しました。連結当期純利益26.9億円に対する配当と自己株取得を合わせた還元総額は15.0億円で、総還元性向は56%でした。
19/3期は30円の配当(配当総額12.5億円)のみで自己株取得はありませんでした。当期純利益は前年とほぼ変わらず27.2億円であり、総還元性向は46%でした。
20/3期予想配当は32円(配当総額13.3億円)です。当期利益予想は23.5億円で総還元性向は57%です。結果として3年間合計の総還元額は40.9億円(配当額35.9億円+自己株取得5.0億円)となり、同期間の当期利益合計77.6億円に対する総還元性向は53%となる見通しです。
ただし、20/3期業績予想は保守的であり、配当金には上振れ余地があると思われます。ちなみに17/3期業績は、期初予想営業利益26億円に対し実績は36億円、18/3期は同32億円に対し、同41億円、19/3期は同34億円に対し、40億円といずれも上振れました。保守的な業績予想に基づいた配当予想なので、ここ2-3年は最終的に(権利確定後の決算発表時など)増配となっています。
また同社は昨年、麻生グループ によるTOBにより麻生の子会社となりました。会社側はこのTOBによって、市場に流通する株式数が減少したことを認識しており、今後の株主還元方針は、自己株取得でなく配当で行う予定です。本来、株式の価値向上という点では増配でも自己株取得でも大差はないはずですが、やはり配当の方が直接的で好感されやすい思います。
日特建設は、ライト工業(1926)に次ぐ業界2位の特殊土木を得意とする建設会社です。得意工事は、法面保護(山や崖の斜面の崩れを防止する工事)と地盤改良で、この2種の工事で売上高の4分の3を占めます。
東日本大震災、熊本地震、北海道地震、西日本豪雨など災害が相次ぐ中、受注、売上は高水準で推移しています。また古くなったインフラ整備(瀬戸大橋などのメンテナンス)も今後増加すると見込まれます。災害の多い日本にとって必要な会社だと思います。