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Oneリート(3290)は、スポンサー変更が奏功

Oneリート(3290)の説明会に参加しました。同社の予想分配金は19/8期、20/2期とも6,900円で、5月24日の引値281,700円に対する利回りは4.9%になります。

 

同社は2013年9月にSIA不動産投資法人として上場しました。当時のスポンサーは東証マザーズ上場の不動産投資顧問業シンプレクス・インベストメント・アドバイザーズでした(その後TOBにより上場廃止)。

 

SIA不動産投資法人の上場当初の旗艦物件は、東京都府中市にあるJタワーで、これが全保有資産の三分の一を占めるいびつなポートフォリオでした。Jタワーはもともと日本製鋼所(5631)が府中の製作所を1987年に閉鎖し、1992年に完成させたオフィスビルです。まさにバブルの最盛期に工場をビルに再開発するという、当時の流行の象徴的な事例でした。ただ完成時はバブルが崩壊しつつありました。まもなくバブル崩壊が決定的となり、長引く不動産不況の中、それを上手くビジネスにつなげる外資系不動産関連事業者も現れ始め、日本製鋼所は、Jタワーをシンプレクス・インベストメント・アドバイザースに売却しました。

 

そしてシンプレクス・インベストメント・アドバイザーズは、このJタワーを組み入れたリートを組成し上場させたのです。しかし旗艦物件であるJタワーは、立地条件が厳しく大型テナントの撤退が相次ぎ、なかなか収益があがりませんでした。

 

2015年、シンプレクスグループ全体の再編の中でSIA不動産投資法人のスポンサーは、みずほ信託銀行へ変更となりました。2017年にはSIA不動産投資法人から「Oneみずほ」を意識したOneリートに投資法人の名称を変更、同年には懸案のJタワーを売却し、3物件を取得しました。そして2018年9月には念願の公募増資を実施し、2物件を取得しました。

 

現在のポートフォリオは、東京圏の中小型オフィスビルを中心に26物件、資産規模1,022億円です。LTV(Loan to Value=借入金比率)は46.2%であり、仮に50%まで引き上げれば、84億円の物件取得が可能です。好調なオフィス市況を受け、業績は好調に推移しています。19/8期の予想分配金6,900円は固定資産税、都市計画税が費用化された巡航ベースとなります。レントギャップ(現行賃料と周辺相場との差)は9.5%あり、これを埋めていくことにより、着実な増配を実現してほしいと思います。

 

足元の懸念材料は、主力ビルの一つである東京パークサイドビル(東京都江東区)で、一部テナントから19年9月末での解約通知を受けていることです。ただし会社側では、館内増床を希望するテナントがおり、しかも退去予定のテナント賃料より増額が見込まれるもようで、比較的楽観視しているようでした。

 

投資口価格は、スポンサー変更以降、上昇基調を辿っています。さまざまな施策により、分配金も着実に上昇しています。分配金利回りは6%程度から4.9%まで低下してきています。スポンサー変更が成功してた典型的なリートといえるでしょう。

 

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 出所:SBI証券

 

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